AIがなかったら死んでた——一人で全部背負うテックリードの現実

コード管理・要件定義・採用・品質管理まで一人で回す3人チームの現実。孤独だった技術責任者にとってAIが何を変えたか。

AIがなかったら、たぶん死んでいた。

比喩だが、あながち冗談でもない。

自分が管理しているものの一覧

3人チームだ。メンバーは未経験から育てた2人。自分が見ているものを書き出すと、こうなる。

  • コード管理
  • 要件定義
  • 技術管理(スタック選定・アーキテクチャ判断)
  • プロジェクト管理
  • タスク管理
  • チーム設計(将来的な事業化・教育計画)
  • 品質管理部門の業務(サイレントで所属させられた)
  • 採用活動(スケジュール設定・カジュアル面接・一次面接・戦略まで)

採用は人事と本部長が動かない。だから自分がやる。品質管理部門は、いつの間にか所属していた。辞めようかと思った理由の一つだ。

「幼稚園じゃないんだよ」と心の中で思いながら、でも止まれない。

孤独の構造

テックリードになった頃から、ずっと同じ問題がある。同じレベルで話せる相手がいない。

技術的な相談は、チームのメンバーにはできない。まだ育成中だ。上層部は技術を理解しない。外部に相談する時間もお金もない。

結果として、自分の頭の中にある知識と判断力が、チームの限界値になる。自分が知らないことは、チームにとっても「存在しないこと」になる。これが一番怖かった。

AIが「相談相手」になった

変わったのは、AIが本格的に使えるようになってからだ。

最初の感動はCursorだった。コードを自動で書いてくれる。でもそれ以上に刺さったのは、実装の相談を受け付けてくれたことだ。

検索は、世界中の言葉からキーワードをヒットさせる。AIは違う。自分の頭にある断片的な知識を、1本のフローに整理してくれた。「自分が何を考えているのか」が言語化される。3年間、誰もできなかったことをやってくれた。

両輪だった運用担当が辞めた後も——設計の壁打ち、資料作成、コードレビューの補助、採用要件の整理——AIがいることで、なんとか回っている。

「乗り切っている」と言えるのは、AIのおかげでもある。

ただ、上澄みだけすくっても意味がない

AIを広めたとき、本部長がモンスターになった。LPを作りまくり、営業資料を量産し、他の部署に自慢しまくる。トークン容量が足りないと言い出した。まるでおもちゃを与えられた子供だった。

自分はその様子を引いて見ていた。

便利さの表面だけをすくっている人間と、落とし穴を踏んだことのある人間では、AIとの付き合い方が全然違う。自信満々で出てくる誤った情報、コンテキストを外れたときの的外れな回答——これを経験していないと、AIに使われる側になる。

AIの限界値を知っている人間だけが、ツールとして使いこなせる。

それでも、AIがなかったら死んでいた

全部を一人で背負いながら、3年が経った。

今でも仮面を被り続けている。何事もなかったように振る舞う。それが自分の役割だと思っているから。

でも、一つだけ変わったことがある。孤独の中に、相談できる相手が増えた。夜中の2時に誰もいないオフィスでエラーと格闘していたあの頃とは、少し違う。

AIがなかったら、たぶん死んでいた。それくらい、自分にとってAIは「効率化ツール」じゃなく「生存手段」だった。


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